コロナワクチン 米感染症協会(IDSA)ホームページ20210307

  • mRNAワクチンの特徴

mRNAワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)という1本鎖RNA分子を含んでいます。mRNAは細胞の中にあるリボゾームによって翻訳され、免疫反応を惹起する抗原タンパク質が合成されます (Schlake, 2012)。mRNAは核内に入ることはなく、従って遺伝子に組み込まれることはありません。またすぐに代謝を受け細胞内から除去されます (Mulligan, 2020)。

これまでに二つのmRNAワクチン、ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社のCOVID-19ワクチン( Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine and Moderna COVID-19 vaccine)がFDAにより認可されました。これらはSARS-CoV-2スパイクタンパクをコードするmRNAを脂質ナノ粒子で製剤化したワクチンです。

Q:ワクチンがもたらすmRNAは細胞内で壊されますか、それともそのまま外に出されるのですか?

A:mRNAは正常細胞処理によってすぐに壊されます。リボゾームによる翻訳が済むと、壊され外に出されます。

Q:スパイクタンパクはどのくらい長く細胞表面に残りますか?

A:翻訳後、スパイクタンパクは3つの異なる形で細胞に見つかります。まず細胞表面に元の表出型として現れます。また細胞内で処理され、異なるタンパクとして主要組織適合遺伝子複合体(MHC)Ⅰ、Ⅱに表出されます。MHCは獲得免疫に重要な役割を果たし、細胞表面に表出したタンパクをT細胞に認識させます。さらにタンパクは細胞から分泌され抗原提示細胞によって取り込まれさらに処理されます。それらの細胞表面に、細胞が死ぬか他の免疫細胞に出会うまで、ペプチド型、原型の両方の形で見いだされます。

Q:(mRNAワクチンによって作られた)スパイクタンパクは体内でどのくらいの期間存在しますか?

A:体内で作られる他のタンパクと同じように存在ます。正確なところは不明ですが、数週間と予測されます。

Q:ワクチンのmRNAは細胞のDNAを改変しますか?

A:そのためにはいくつかの事象が必要となります。まず、mRNAがDNAのある細胞核に入る必要があります。が、mRNAは核へのアクセスシグナルを持たないため入ることはできません。次に、核に入ったとして、mRNAはDNAに変換されなければなりませんが、そのためには逆転写酵素というものが必要です。mRNAはこれを持ちません。3つ目、mRNAがDNAに取り込まれるためにはインテグラーゼという酵素が必要ですが、この酵素も持っていません。つまりmRNAワクチンはDNA改変に必要な全てを欠いています。ワクチンmRNAは細胞内でわずか数日間で壊されてしまいます。注目すべきことに一つの細胞には20万以上のmRNAが存在し、タンパクや酵素を作っています。mRNAワクチンによって細胞に入るmRNAはわずか数個に過ぎません。

Q:このmRNAは細胞のRNAを改変しますか?

A:いいえ、ワクチンmRNAは自己増殖できません。

Q:このワクチンは細胞性免疫を誘導しますか?

A:ファイザー・ビオンテックCOVOD-19ワクチンとモデルナCOVOD-19ワクチンはB細胞に加えてT細胞反応を刺激します (Sahin, July 2020; Anderson, December 2020)。

Q:メモリー細胞障害性細胞(メモリー T8+細胞)について分かっていることは?

A:ファイザー・ビオンテックの第1/2相試験 Phase 1/2 dataで、BNT162b1(ファイザー・ビオンテックワクチン)1-50㎍2回接種により強いCD4+とCD8+T細胞反応と、COVID-19回復期血清より高いreceptor binding domain IgG抗体価が惹起されました。

Q:ワクチン接種によりPCR検査や抗原検査の偽陽性が増えますか?

A:いいえ、ワクチン接種によってPCRや抗原検査の偽陽性が増えることはありません。

 

  • mRNAワクチン 効果と安全性

Q:“ワクチンの効果”とは何を意味しますか?またファイザー、モデルナワクチン治験ではどのようにして評価されましたか―病気、それとも感染の予防ですか?

A:効果の指標は発症予防です、感染予防ではありません。一般にワクチン効果という場合は特に指定されなければ臨床的発病予防を意味します。詳しくは Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine and Moderna COVID-19 Vaccine をご参照ください。

Q:これらmRNAワクチンの感染予防効果についてどこまで分かっていますか?

A:ワクチン接種後のヒトが無症候感染者となり他者にうつすかどうか、現時点では分かっていません。なのでこれまでの感染予防策を続けることが大事です。ファイザー治験では観察期間中の血清を保存しており、期間中抗体陽性化は無症候感染を意味するものであり、将来公表されるでしょう。

モデルナは1,2回目接種前に鼻咽頭ぬぐい液検体採取し、2回目のワクチン群14人・プラセボ群38人の無症候性ウイルス陽性を報告しました。結論づけるにはより詳細なデータを要しますが、1回のワクチン接種で無症候性感染が2/3程度抑制された可能性があります。

Q:ワクチン効果はどのくらい続きますか?

A:ファイザー第2/3相、モデルナ第3相の両方とも十分長いフォローアップ期間が経っておらず、今後データが収集され開示されるでしょう。現時点でファイザーは1回接種後数週間のみ、モデルナ第1相試験では1回接種後119日・2回接種後90日後に免疫あり(Jackson, November 2020)とのデータがあります。

Q:両方のワクチン2回接種後効果(有症状発症予防)発現に要する日数は?

A:ファイザー、モデルナワクチン臨床試験によると、ファイザーは7日後に95%の有効性、モデルナは14日後に95%の有症状発症予防効果が見られました(両方とも2回接種後の日数)

Q:新型コロナウイルスの変異種について教えてください。mRNAワクチン効果は下がりますか?

A:英国のB.1.1.7(20B/501Y.V1、VOC202012/01)、南アフリカのB.1.351(20C/501Y.V2)、その他アメリカ・カナダなど多くの国で変異種が見つかっていますRambaut, November 2020; Tegally, December 2020; Davies, December 2020; Greany, January 2021。B.1.1.7は武漢コロナに比べて50%以上高感染性との疫学的データCDC, January 2021や最近高致死率を示唆するデータもあります may be more deadly than the original strain。その他の変異種もアメリカで見つかっています other variants 。

これらに対するファイザーワクチン効果の結論はまだですが、合成されたN501とY501株がファイザーワクチン接種後の血清で同程度に中和された、すなわち変異種に対するワクチン効果に差がないとの報告がありますXie, January 2021 (ただし査読前文献で、B.1.1.7、B.1.351の全変異を含んでないなど限界あり)。さらなる研究が進行中。注意すべきは、ワクチン同士の予防効果の相関関係が分からないことで、現在は抗体価だけで評価されているが、細胞性免疫(T細胞)もあります。

Q:mRNAワクチンで不妊症になりますか?

A:ファイザー、モデルナともに不妊症に関連するとのエビデンスはありません。“胎盤着床に重要なsyncytin-1というタンパクがスパイクタンパクに類似しているため、作られる抗体がsyncytin-1を攻撃する”との間違った情報がインターネット上で流通していますが、mRNAワクチンはsyncytin-1を含んだりそれをコードするものではなく、作られるタンパクはsyncytin-1と全く異なるものです。ファイザー治験では23人(ワクチン12、プラセボ11)が妊娠し、モデルナ治験では13人(ワクチン6、プラセボ7)が妊娠しました(うちプラセボ群2例に妊娠合併症(人工妊娠中絶、自然流産)あり)。両mRNAワクチンの妊婦に対する試験が予定され、期間中に妊娠するかのデータも集められます。

Q:肥満や糖尿病者に有効ですか?

A:ファイザーは肥満に対して95.4%有効と報告しています。糖尿病に対する有効率データはありませんが、糖尿病など基礎疾患で調整した有効率には差がなかったとしています。モデルナは肥満に対して91.2%、糖尿病に対して100%有効と報告しています。

Q:アジア系、その他の人種はmRNAワクチン研究で少数ですが、安全性・有効性は?

A:ファイザー研究にはアジア系1630人(ワクチン815人、プラセボ815人)が含まれました。Subgroupとしての有効性までは出せませんでしたが、著者らは各人種における効果も全体と同等としています。モデルナでは36.5%が有色人種、うちアフリカ系アメリカ人9.7%・アジア系4.7%・それ以外<3%・ヒスパニック/ラテン系20%でした。

Q:感染減少にはマスクが有効ですが、ワクチン接種がもたらす利点とは?

A:ワクチンは免疫をつけることで、マスクは感染を減らすことで病気を予防するのが目的です。ワクチン接種後の無症候性感染者から他者への感染予防については不明であることから、ワクチン接種後もマスクと社会的距離を保つことは大事です。CDCは両ワクチン2回接種後にコロナ確定患者に暴露されても、下記の条件であれば隔離不要としています:1)2回目接種後2週間以上経過、2)2回目接種後3ヵ月または90日以内、3)COVID-19の症状が全くない。

 

  • mRNAワクチンの安全性

Q:ファイザー、モデルナワクチン治験の安全性評価の方法は?

A:各接種後7日間の想定内の局所/全身反応+鎮痛解熱剤使用、6か月間(ファイザー)・研究終了まで(モデルナ)の想定外の有害事象を評価します。

Q:ファイザー・ビオンテック治験の”重篤反応”とは?

A:重篤事象はまれでありワクチン群・プラセボ群で同程度でした(それぞれ0.6%・0.5%)。ワクチン群21,621人中、4人の重篤事象は注射関連肩外傷、腋下リンパ節腫大、発作性心室不整脈、右下肢知覚異常でした。臨床試験で4人が遅発性ベル麻痺をそれぞれワクチン接種後3,9,37,48日目に発症しました。これは一般人口における発症頻度に一致するものです。

Q:ワクチン接種後ギランバレー症候群発症の情報/関連はありますか?

A:両ワクチンとも臨床試験での接種後ギランバレー発症はありません。ギランバレー既往があってもその他の禁忌に該当しなければワクチン接種を受けて良いです。CDCの免疫実行勧告委員会 general best practice guidelines for immunizationではギランバレー既往歴を接種禁忌とはしていません。もしギランバレーが起きたら、全例 Vaccine Adverse Event Reporting Systemに報告しなければなりません。

Q:ファイザー・ビオンテック臨床試験で、ワクチン群でみられたベル麻痺は改善しましたか?

A:ベル麻痺は全てのワクチン試験でモニターされます。ベル麻痺の既往歴は、他に禁忌となるものがなければmRNA新型コロナワクチンの禁忌となりません。全てのベル麻痺は報告しなければなりません reported to VAERS

両mRNA臨床試験で起きたベル麻痺の頻度は一般人口に起きる頻度と同程度でした。

モデルナでは30,000人超に接種し4人に発症(ワクチン群3、プラセボ群1)、ファイザー・ビオンテックでは43,000中4人(全てワクチン群)に発症(接種後3,9,37,48日後に発症)した。

Q:横断性脊髄炎の心配は?

A:mRNAワクチンでの横断性脊髄炎の報告は出ていません。

Q:抗体依存性病態増悪(ADE)の心配はありますか?

A:両mRNAワクチン臨床試験において(それぞれ30,000人超)ADEは誰にも出現しませんでした。

Q:ワクチンの長期的安全性に必要なことは何でしょう。

A:両ワクチン試験で重篤な有害事象は低かったです。長期的安全性はより多くの人々が接種することで得られるでしょう。有害事象は Vaccine Adverse Event Reporting Systemに報告されます。さらにCDCは新たにスマートホンに自分で文章を入力したりウエブ検索できるv-safeを開発。ワクチン接種後のほぼリアルタイムのヘルスチェックを提供します。2021.1/20時点でファイザー、モデルナそれぞれ997,042人、1,083,174人が登録したv-safeに少なくとも一つのヘルスチェックを完了しました。0-7日後までに最もよく見られた局所・全身副反応は疼痛70.7%、倦怠感33.4%、頭痛29.4%でした。年間1200万人以上のデータにアクセス可能な9つの統合されたヘルスケア機構がワクチン関連病態増悪をモニタリングしていますが、2021.1/16までにワクチン関連病態増悪のサインは認めておりません。

 

  • 用量、投与法

Q:ワクチンの解凍法は?シリンジ内のワクチンは投与までどのくらい冷蔵庫保管できますか?

A:ファイザー・ビオンテックワクチンは冷蔵庫(2-8℃)または室温(25℃まで)で解凍できます。冷蔵庫内で解凍後は5日間保管可能です。室温解凍後は30分以内の使用が必要です。

モデルナワクチンは、冷蔵庫(2-8℃)2.5時間で解凍されます。解凍後のバイアルは室温で15分間立てて保管後注射してください。または室温(15-25℃)1時間で解凍できます。

シリンジに移した1回分のワクチンについての冷蔵庫保管に関するガイダンスはありません。

Q:ファイザー・ビオンテックワクチンの保管に必要なことは?

A:希釈前の凍結バイアルは、できれば-80~-60℃の超低温で輸送・保管してください。代替策として、2週間以内であれば-25~-15℃の通常低温での輸送・保管も可能です。

Q:ファイザーワクチンは生食希釈ですか?1回接種量は何mlですか?

A:バイアルの中身を0.9%塩化ナトリウム注射液1.8mlで希釈してください。塩化ナトリウム注射液は同梱されてないので別途準備してください。静菌的0.9%塩化ナトリウム注射液などそれ以外の希釈液では希釈しないでください。希釈後は6時間以内に使用してください。1回注射量は0.3mlです。

Q:シリンジ内のワクチンは、冷蔵庫保管中にシリンジ内壁に吸着され不活化されますか?

A:冷蔵庫内でのシリンジの正しい保管方法は現時点で分かっていません。ワクチン保管方法についてはFDAガイダンス資料(ファイザー・ビオンテック、モデルナ Pfizer-BioNTech and Moderna)をご参照下さい。

Q:複数量をバイアル使用する際の注意点は?

A:FDAファイザーワクチンファクトシート FDA Pfizer-BioNTech Vaccine Fact Sheetには下記の注意があります

・バイアルのラベルに希釈した日時を記載すること

・2~25℃で保管すること

・希釈後6時間経った未使用ワクチンは捨てること

FDAモデルナワクチンファクトシート FDA Moderna Vaccine Fact Sheet provides these instructionsには

・保管庫から必要バイアル数を取り出し使用前に解凍すること

・2時間30分冷蔵庫(2~8℃)で解凍し、解凍後は室温15分バイアルを立てた状態としてから使用すること

・代替的解凍方法は室温(15~25℃)で1時間

・解凍後は再凍結しないこと

・解凍後および毎回取り出し時にはバイアルを優しく渦巻くように振ること

Q:ワクチン接種前、接種者に説明と同意は必要ですか?

A:FDAが両mRNAワクチンに緊急使用許可を出したため、臨床試験同様の同意書は不要だが、ワクチン接種者は接種前に職業にかかわらず下記を満たさなければなりません。

  1. 接種者または介護する人に、接種者または介護する人用ファクトシートFact Sheet for Recipients and Caregivers に従って情報伝達する(そしてそのコピーを渡すかオンラインファクトシート online fact sheetを案内する)
  2. 以下を助言する

 ・FDAはワクチンの緊急使用を許可したが認定したわけではない

 .接種者または介護する人は接種を受けても断っても良い

 .分かっている重要な潜在的リスクと利益、まだ分からないリスクと利益について。予想される全身・局所の副反応と、特別な集団(例;妊娠、授乳、免疫抑制)で注意すべきことを含む

 .利用できる代替ワクチンとそのリスク・利益についての情報。

 3. 2回目接種予定日を書いたワクチン接種カードを渡す

 4. 州/地方の管轄下にある免疫情報システムまたはその他の指示されたシステムにワクチン接種した記録を残す

Q:2回目接種すべき期間を過ぎた場合、1回目の再接種は推奨されますか?

A:推奨される期間を過ぎても1回目の再接種は不要です。できるだけ早く2回目を計画してください。

Q:全ての人への2回目の有効性を確認するために接種を控えることは推奨されるか?

A:1回接種後ワクチン有効性は研究されていない。第3相試験で1回だけ接種を受けた例での有効率はモデルナ80.2%、ファイザー・ビオンテック52.4%と報告されているが、数が少なく経過観察は短期間であった。1回接種について現在研究中でありその結果が出るまで1回接種の免疫反応の持続と程度は不明である。FDAは全てのCOVID-19ワクチン接種者に2回接種を勧めている FDA recommends that all COVID-19 vaccine recipients receive two doses of vaccine

Q:ワクチン接種後抗体検査は勧められるか?

A:両mRNAワクチン接種後の免疫反応評価を目的とした抗体検査は推奨されない。

 

  • 同時に行う治療について

Q:他のワクチンの同時接種は推奨されませんが、その他ワクチン(例;シングリックス(=帯状疱疹ワクチン)、インフルエンザ)接種後どのくらい期間をあければ新型コロナワクチン接種してよいですか?

A:CDCによれば Per CDC、mRNA COVID-19ワクチンとその他ワクチンとの安全性・有効性に関するデータがないことから、このワクチンは単独で接種、他ワクチンとお互いに最低14日間あけること、となっています。例外は同時接種の潜在的危険よりも利益が上回る(創傷管理時の破傷風トキソイドなど)、同時接種しないと本ワクチン接種が遅れる場合など。もし本ワクチンがうっかり他ワクチンと14日以内に接種されてしまっても、どちらのワクチンも打ち直す必要はありません。

Q:本ワクチン接種の禁忌となる薬剤はありますか?接種に先立って中断すべき薬剤はありますか?

A:現時点で禁忌となる薬剤はありません。その他のワクチンとは、安全性/有効性データがないため、同時接種は避け、最低14日あけてください。

モノクローナル抗体半減期、回復期血清、感染後90日以内の再感染がまれであるエビデンスevidence から、新たな情報があるまでの予防的対策として、感染後接種するまで最低90日間あけてください。ワクチンの免疫反応による抗体治療との干渉を避けるためです。

Q:最適な免疫反応を得るための、モノクローナル抗体治療と本ワクチン接種との推奨間隔はありますか?

A:現時点でモノクローナル抗体または回復期血清治療後の本ワクチンの安全性/有効性データはありません。予想される半減期エビデンスevidence から、新たな情報があるまでは本ワクチン接種は最低90日あけてください。

COVID-19に特異的でない静注免疫グロブリン製剤と本ワクチン接種との最短間隔についての推奨はありません。

Q:IgG欠損症患者がIVIG静注を受けた後の本ワクチン接種の間隔は?

A:免疫不全患者へのIVIG投与後の本ワクチン接種間隔についてのデータはありません。しかし、IgG欠損症患者ではワクチン反応が無いまたは減弱する場合があります。

COVID-19に特異的でない抗体治療がワクチンによる免疫反応を傷害することは考えにくく、CDCステートメントCDC states はその場合の間隔はあけなくてよいとしています。

Q:抗凝固治療中や凝固異常患者に注意すべきことはありますか?

A:患者さんは自分が止血異常や血液濃度を下げる治療中であることをワクチン提供者に申告しなければなりません。接種後出血リスクがより大きい可能性があるためです。それ以外には特に注意点はありません。

Q:本ワクチン接種者はステロイド使用を避けるべきですか?もしそうなら、どのくらいの期間でしょうか?

A: American Society of Hematology and the American Society for Transplantation and Cellular Therapyによれば、高用量副腎皮質ステロイド(20mg/日または>2mg/kg/日プレドニン換算)で既に免疫抑制状態にある場合、ワクチン効果が減弱する可能性ありとされます。それ以下の用量なら本ワクチン効果が特に減弱するとは考えにくいです。

Q:ワクチンの免疫反応を阻害/阻止する薬剤や疾患は?

A: American Society of Hematology and the American Society for Transplantation and Cellular Therapyによれば下記の免疫異常があると本ワクチンへの反応が低下または無い可能性がある(リストは包括的ではない)。

 ・獲得免疫を含む原発性および二次性免疫不全症

 ・脾摘または機能性無脾症(例;鎌状赤血球症)

 ・B細胞に対する治療(例;CD20またはCD22に対するモノクローナル抗体阻害剤、ブリナツモマブのような二重特異性抗体製剤、CD19またはCD22に対するCAR-T細胞療法、BTK阻害剤)

 ・T細胞に対する治療(例;カルシニューリン阻害剤、抗胸腺細胞グロブリン、アレムツズマブ)

 ・多くの化学療法レジメン

 ・高用量副腎皮質ステロイド(20mg/日または>2mg/kg/日プレドニン換算)

 ・造血細胞移植 特に自家造血細胞移植後3-6か月以内、同種造血細胞移植後はしばしばより長期

 ・背景に免疫異常あり(例;GVHD、移植片拒絶、無または不十分な免疫再構成、白血球減少、リンパ球減少

Q:初回接種後すぐCOVID-19罹患し抗体治療を受けた場合の2回目接種時期は?2回目は接種すべきでしょうか、それとも最初からやり直すべきでしょうか?

A:CDCガイダンスによれば Per CDC guidance症状のあるCOVID-19に罹患した場合、症状回復し隔離解除基準を満たしたらすぐに接種可能とされています。未接種および1回接種者に適用されます。感染後90日以内の再感染はまれなためそれまで接種延期することも可能ですが、その必要はありません。2回目接種が遅れたとしても1回目から打ち直す必要もありません。ワクチン供給者は2回接種を終了させるべきです。

回復期血清またはモノクローナル抗体治療を受けた患者へのmRNAワクチン有効性/安全性のデータはありません。それらの治療はワクチンによる免疫反応に干渉する可能性があります。従って新データが出るまではCDCはこれら治療後ワクチン接種は最低90日延期を推奨しています。これら治療の半減期であること、初感染後90日以内の再感染はまれであることによります。

 

  • 副反応とアレルギー反応

<副反応>

Q:ワクチン接種者はアセトアミノフェンNSAIDの前投薬を受けるべきでしょうか?

A:ワクチン後症状予防目的でのルーチンでのこれら薬剤前投薬は現時点で推奨されません。これら薬剤の免疫反応への影響とワクチン後症状への影響が不明だからです。

Q:ワクチン後局所/全身副反応に対してNSAIDを控えアセトアミノフェン使用が望ましいエビデンスはありますか?

A:CDCによれば Per CDC、ワクチン後局所/全身副反応に対してNSAIDアセトアミノフェンも使用可能です。ただし妊娠中の場合はアセトアミノフェンが望ましいです。

Q:ワクチン後の発熱は何℃まで上がりますか?

A:ファイザー・ビオンテック研究ではワクチン群/プラセボ群の各1人ずつが40.0℃超に、モデルナ研究ではワクチン群で40.0℃超が初回接種後4人・2回目接種後11人に見られました。

Q:COVID-19罹患歴があるとワクチン副反応は出やすいですか?

A:この特殊集団の副反応についての大きなデータはまだありません。モデルナ、ファイザー研究の血清検査で事前感染の証拠があったのはそれぞれ2.2%、3%でしたが、彼らのデータではワクチンは安全でした。

<アレルギー反応>

Q:薬物でなく食物アレルギー(例;甲殻類、ナッツ、卵によるアナフィラキシー既往歴がある場合、接種を避けるべきですか?

A:CDCステートメントstates では、ワクチンまたは注射剤によらない重篤なアレルギー反応の既往―食物、ペット、毒、環境的、ラテックス―は接種可能、飲み薬アレルギー・家族に重篤なアレルギー反応・ワクチンへのより軽度なアレルギー(アナフィラキシー除く)も接種可能とされます。

VAERSに寄せられた(2021.1/18までに)COVID-19アレルギー反応にてファイザー・ビオンテックでアナフィラキシー50例(/9,943,247接種)、モデルナでアナフィラキシー21例(/7,581,429接種)が報告されています。問診でアレルギー/アレルギー性反応およびアナフィラキシー既往ありと記載があったのがそれぞれファイザー;40例(80%)および12例(24%)、モデルナ;18例(86%)および5例(24%)でした。

Q:アレルギーに関してワクチンの成分で注意すべきものは何ですか?

A:どちらのmRNAワクチンのいずれかの成分に対する重篤なアレルギーが分かっている場合は接種してはいけません。ファイザー・ビオンテックワクチンは以下の成分を含みます;mRNA、脂質[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)、2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム二水和物、精製白糖。モデルナワクチンは以下を含みます;ポリエチレングリコール、ジミリストイルグリセロール、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、トロメタミン塩酸塩、酢酸、酢酸ナトリウム、精製白糖。

Q:ファイザー・ビオンテックの脂質ナノ粒子の正確な化学的性質は?モデルナとどう違いますか?

A:両者とも脂質ナノ粒子中にポリエチレングリコールを含みます。

Q:防腐剤やアジュバントを含みますか?

A:防腐剤やアジュバントを含みません。

Q:急性期アレルギー反応に関して、推奨されるワクチン接種後観察時間は?

A:両ワクチンとも、アナフィラキシー既往のない場合は15分、既往がある場合は30分間の経過観察が必要です。

Q:気管支喘息患者に本ワクチン接種後、過敏反応やアナフィラキシーが出易いというデータはありますか?

A:気管支喘息やその他呼吸器疾患だから過敏反応やアナフィラキシーが起きやすいことはありません。COVIDワクチンに対する重篤反応(アナフィラキシー)既往がある場合、以後のCOVIDワクチンは禁忌となります。その他ワクチンや注射剤(筋注、静注、皮下注)に対する重篤反応(アナフィラキシー)は警戒を要しますが禁忌とはなりません。

 

  • 割当、分配

Q:COVID-19ワクチン優先順序はどのように決められましたか?

A:残念なことに国によるワクチン接種プログラムの最初の数か月の間、需要が供給を上回ることが予想されました。そのためACIPは供給が制限されている間次のような追加目標を立てました:

  1. 死亡と重症化をできる限り減らす
  2. 社会の機能を維持する
  3. 病気により既に不均衡に面している人々へのさらなる負担を減らす
  4. 全ての人が健康を楽しむ機会を増やす

州や現場によって分配施策が異なる可能性があります。your states COVID-19 vaccination plan hereを参照してください。

Q:ワクチン分配に関して、長期療養型施設スタッフは医療従事者とみなされますか?

A:はい、医療専門職の有資格者以外でも、長期療養型施設勤務であればCDCの広義の定義で“医療従事者”に含まれ、フェーズ1aでワクチン接種推奨されます。CDCは直接患者に接しなくても施設内で感染性のあるものに暴露される可能性がある人を含めます(例;事務、飲食、環境サービス、洗濯、警備、機械・設備、管理、請求、ボランティア)

Q:フェーズ1aの次に優先されるのは?

A:ACIPの推奨 recommendations フェーズ1b;75歳以上、非医療関連第一線インフラ労働者。フェーズ1c;65-74歳、医学的高リスク16-64歳、フェーズ1b以外のインフラ労働者。CDCは医学的新知見に伴い医学的高リスク list をアップデートし続けています。

Q:州の分配・優先プランはCDC/ACIP推奨とどのくらい異なりますか?

A:州と現場では特有の分配施策によって変わる可能性があります。あなたの州のyour states COVID-19 vaccination plan hereで、集団ごとのワクチン分配フェーズをご参照できます。

Q:検査同様、ワクチンの”ドライブスルー”施設での接種は許可されますか?

A:ドライブスルーワクチンクリニックの実現可能性は、現場の医療資源(保管、処理、準備の設備)に大きく依存しますが、可能です。ファイザー・ビオンテックワクチンは解凍後5日間普通冷蔵庫保管可能ですが、運搬・長期保管には超低温が必要です。より多くのワクチンがEUAのもと取引きされるようになれば、低温流通体系を維持しつつ接種会場のさらなる拡大が期待されます。CDCは道路わきやドライブスルーワクチンクリニック(COVID-19に限らない)を検討中の施設向けにガイダンス guidance を作りました。

 

  • 特殊な患者集団と環境

<過去または現在感染した/している人>

Q:COVID-19既感染者への接種が必要な理由は?

A:COVID-19感染後の免疫持続期間が不明なこと(再感染が3か月後に起きた事例あり)、感染後の免疫反応に差があること(軽症例は重症例に比べて強い免疫反応が出ないことを示唆するデータあり)からCDCは有症状/無症状COVID-19罹患歴にかかわらずワクチン勧奨を勧めています CDC recommends offering vaccination 。ワクチン接種決定のみを目的としたウイルス検査や抗体検査は推奨されません。現在COVID-19罹患中の患者さんは急性期症状が回復し隔離解除の criteria に該当するまでワクチン接種を延期してください。

Q:過去90日以内にCOVID-19罹患した人はワクチン接種を避けるべきですか?90日を超えるとは何からくるのか?

A:感染とワクチン接種の最短間隔に関するその他の推奨がない一方、現在までのエビデンスは感染後90日間の再感染がまれであることを示唆しています。このため90日以内のCOVID-19感染者が接種希望する場合、この期間が終わる頃まで接種を遅らせても良いと言えます。

Q:PCR検査かつ/または症状のある感染期間中のワクチン接種についてデータはございますか?

A:既知の新型コロナ現感染者は急性期症状から回復し隔離解除 criteria に該当するまで接種を遅らせてください。これはワクチン未接種者、ワクチン1回のみ接種者に適用されます。ワクチン接種後にCOVID-19発症した場合でもワクチン接種がその後の治療方針(モノクローナル抗体、回復期血清、抗ウイルス治療、副腎皮質ステロイド)や治療のタイミングに影響することがあってはなりません。

<妊娠中または授乳中の人々へのワクチン接種>

Q:妊娠または授乳中のワクチン接種の推奨は?

A:ファイザー・ビオンテックとモデルナワクチンEUAs(緊急使用許可)は妊娠または授乳者を除外しません。CDCによれば妊娠または授乳者もワクチン接種を選択できます。妊婦さんのare being collected in pregnant individuals 安全性データがv-safeを使って集められており、2021.1/22時点で227人の妊娠が登録されました。

観察データ data は妊婦がより重症化や予後の悪化につながる可能性を示唆しており、また早産など異常妊娠が多い可能性もあります。

現在、妊婦におけるmRNAワクチンを含めたCOVID-19ワクチンの安全性データは限られており、動物での発達・生殖毒性研究に限られます。メスのラットで妊娠前・中にモデルナワクチン投与したところ rats that received Moderna COVID-19 vaccine、胎児と生後の発育には安全面での心配は全く認められませんでした。妊婦における研究が計画され、ワクチンメーカーは臨床試験中の妊娠結果を観察しています。専門家はこれまでの知識から、mRNAワクチン mRNA vaccinesは生ワクチンではないため妊婦と胎児を危険にさらすことは起こりにくいと信じています。ワクチンに含まれるmRNAは正常細胞処理によって速やかに分解され細胞核には入らないのです。しかし、妊婦での研究がこれまでなかったため母児への潜在的リスクは不明です。

もし妊婦が医療従事者のように本ワクチンを推奨されるグループに属する場合、彼らはワクチン接種を選んでもよい。接種前に聞く、患者と医療チームとの会話は本ワクチン使用に関する意思決定をアシストするかもしれません。決断する際、妊婦とその医療提供者はCOVID-19地域流行度、妊婦のCOVID-19罹患可能性、COVID-19の妊婦・胎児への潜在的リスク、ワクチン効果・副反応・妊娠中安全性データの欠如を考慮しなければなりません。

副反応は妊娠してない人と同様に起こります。発熱は異常な妊娠結果と関連するため、ワクチン後発熱の可能性がある妊婦はアセトアミノフェン服用を助言されるかもしれません may be counseled 。アセトアミノフェンはその他のワクチン後症状に対しても処方されるかもしれません。

本ワクチン投与前に妊娠検査をルーチンとして行うことは推奨されません。妊娠希望者は本ワクチン接種後に避妊する必要はありません。

アメリ産婦人科学会 American College of Obstetricians and GynecologistsはACIP推奨の優先接種グループ ACIP-recommended priority groupsに属する妊婦への本ワクチン接種を控える必要なしとしています。さらに母体-胎児医学協会は妊婦・授乳婦へのmRNAワクチン安全性リスクは低そう safety risk of mRNA vaccination for pregnant or lactating peopleであり、ワクチン接種が勧められる妊婦は個別のCOVID-19罹患リスク・その他の個人的因子による指導を受け接種を決定すべきとしました。

Q:妊婦に接種する際、追加で必要なものはありますか?同意書は必要ですか?

A:ワクチン接種後発熱したらアセトアミノフェン使用するよう助言すること以外はありません(発熱が異常な妊娠結果に関連するためです)。同意書は必要ありません。

Q:私は、ワクチン接種後作られるスパイクタンパク抗原による免疫反応が胎盤のsyncytin-1タンパクと交差反応し、子癇前症、胎盤早期剥離、早産、流産が起きると聞いたことがありますが、本当ですか?

A:ファイザー・ビオンテックとモデルナワクチンのいずれも異常妊娠結果と関連するというエビデンスはありません。FDA認可後、インターネット上に誤った情報が出回りました。すなわちワクチンによって作られた抗原(スパイクタンパク)が胎盤接着に重要な別なタンパク(syncytin-1)と似ているため、ワクチンがこれに対する抗体を産生すると。本ワクチンはsyncytin-1を含みませんし、ワクチンのmRNAはsyncytin-1をコードしません。また両ワクチンにより作られるスパイクタンパクとsyncytin-1は構造的に全く異なります。本ワクチンによって作られる抗体がsyncytin-1を標的にするというデータはありません。

ファイザー治験では23人(ワクチン12、プラセボ11)が妊娠し、想定外の異常妊娠は起きませんでした。モデルナ治験では2020.12/2までに13人(ワクチン6、プラセボ7)が妊娠し、うちプラセボ群2例に妊娠合併症(人工妊娠中絶、自然流産)が起きました。両mRNAワクチンの妊婦に対する試験が予定され、期間中に妊娠するかのデータも集められます。

<免疫能低下患者>

Q:移植患者には安全ですか?

A:免疫能低下者Immunocompromised peopleは重症COVID-19のリスクがあるためCDCのステートメント states は特に禁忌でなければワクチン接種を受けてよいとしています。移植患者は彼らに対するワクチン有効性・安全性は分かってないことを忠告されるべきです。しかし生ワクチンでないため、危険にさらすことも考えにくいです。個体における完全な免疫が起きるためには、接種後の最適な防御免疫反応、特に抗原提示、B細胞・T細胞活性化、形質B細胞による抗体産生の存在が重要です。なので適応免疫細胞の機能が失われた状態では十分な防御免疫反応を作れない可能性があります。従って、移植患者はワクチン接種後であっても現状通りの自己防衛措置を全て続けることが大事です。さらに患者保護のためケアする人、接する家人にはワクチン接種が強く勧められます。

Q:がん患者の多くは病気自体と受ける治療(化学療法、放射線治療、幹細胞移植)によって免疫能が低下していますが、考慮すべきことはありますか?この集団への安全性・有効性は?

A:HIV感染者またはその他免疫能低下患者、免疫機能を低下させる薬剤・治療を受ける患者は重症COVID-19リスクが増大します might be at increased risk for severe COVID-19。このグループに対する安全性・有効性データは今のところありません。mRNA臨床試験の一部にHIV感染者が含まれていましたがデータは限られています。免疫能低下患者は特に禁忌がなければワクチン接種可能です。ただし免疫能低下患者における安全性・有効性は不明であり、接種後も現状通り自己防衛措置を続けるよう助言を受けなければなりません。

がん患者に対するこれらワクチンの有効性・安全性データが限られることを助言されなければなりません。生ワクチンでないため、危険にさらすことも考えにくいです。個体における完全な免疫が起きるためには、接種後の最適な防御免疫反応、特に抗原提示、B細胞・T細胞活性化、形質B細胞による抗体産生の存在が重要です。なので適応免疫細胞の機能が失われた状態では十分な防御免疫反応を作れない可能性があります。従って、移植患者はワクチン接種後であっても現状通りの自己防衛措置を全て続けることが大事です。さらに患者保護のためケアする人、接する家人にはワクチン接種が強く勧められます。

Q:自己免疫疾患患者はワクチンを受けられますか?感受性ある患者において、ワクチンが自己免疫疾患/反応を増悪させる心配はありますか?

A:自己免疫疾患はmRNAワクチンの禁忌ではありません。両mRNAワクチン試験に自己免疫疾患患者が含まれました。プラセボ群と比べて、ワクチン群で自己免疫疾患や炎症性障害の悪化は特に見られませんでした。

Q:免疫能低下患者―移植後、自己免疫疾患による慢性免疫能低下、HIV陽性者―についての第4相試験の計画はありますか?

A:FDA EUA(緊急使用許可)は免疫能低下患者とその他の基礎疾患を有するサブ集団については認定後観察研究での研究を推奨しています。HIV陽性者はファイザー・ビオンテック、モデルナ試験に含まれていましたが、数は少数でした。

Q:ワクチンは脾摘後患者に接種できますか?機能性無脾症および脾摘後において。

A:CDC推奨 CDC recommendsでは、禁忌がなければ接種可能としています(機能性無脾症を有する鎌状赤血球症を含む)。個体における完全な免疫が起きるためには、接種後の最適な防御免疫反応、特に抗原提示、B細胞・T細胞活性化、形質B細胞による抗体産生の存在が重要です。なので無脾症のような適応免疫細胞の機能が失われた状態では十分な防御免疫反応を作れない可能性があります。従って、移植患者はワクチン接種後であっても現状通りの自己防衛措置を全て続けることが大事です。さらに患者保護のためケアする人、接する家人にはワクチン接種が強く勧められます。

Q:HIV患者において、CD4細胞数とウイルス抑制に基づくワクチン接種についての推奨はありますか?

A:コントロールされたHIV患者はmRNAワクチン試験に含まれましたが少数だったため、この集団においての有効性・安全性を確立するには不十分でした。HIV陽性者は重症COVID-19リスクなため、CDC推奨 CDC recommendsは禁忌がなければ受けてよいとしています。HIV患者、特にHAARTを受けてないCD4数低下患者は、一般に比べて免疫能が低下していること、ワクチン接種後も現状通りの自己防衛措置を全て続けるよう助言されるべきです。さらに患者保護のためケアする人、接する家人にはワクチン接種が強く勧められます。

Q:もしファイザー・ビオンテックまたはモデルナmRNAが、HIV-1複製中の細胞に導入されたら、mRNAの一部が逆転写酵素でDNAに転写されませんか?

A:HIV-1複製は細胞核で起こります。ワクチン由来のmRNAは細胞核には入りません。むしろ細胞質に残って翻訳されます。ゆえにmRNAのDNAへの転写は不可能です。

<小児>

Q:もし小児にファイザー・ビオンテックワクチン接種する場合、半量ずつを初回と4週間後に接種することは可能ですか?

A:現時点でファイザー・ビオンテックワクチンの小児接種のデータや推奨はありません。16-17歳の青年期はファイザー・ビオンテックワクチン緊急使用許可の適格者に含まれます。この年齢集団の安全性・有効性データは限られますが、18歳以上と比べて生物学的に異なるという適当な理由もありません。16-17歳は適格な同意の下接種可能です。16歳未満への接種は現時点で許可されていません。

モデルナワクチンは18歳未満への接種は現時点で許可されていません。

ファイザー・ビオンテックは9月に12歳への臨床試験を始めました。

モデルナは12-17歳の試験を始めました。

Q:ワクチン接種において16-17歳と18歳との間に生物学的違いがあるのですか?

A:この年齢集団におけるワクチン安全性・有効性データは限られており、18歳以上と比べて生物学的に安全性・有効性が異なるという適当な理由はありません。免疫下実行アドバイザリーコミッティーガイダンスのステートメントguidanceでは、16歳以上でワクチン接種推奨グループに属する場合はファイザー・ビオンテックワクチンを、18歳以上はモデルナワクチンを受けるようにとしている。この年齢差は各ワクチン試験での年齢と、FDAが緊急認可で発した内容に関連している。

<高齢者>

Q:65歳以上で特別に考慮(制限)することは?

A:65歳以上で特に制限はない。

 

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